埼玉県通信制高校生のためのキャリア教育シリーズ Vol.12

第12回:地域で輝く働き方を学ぶ ~認定NPO法人みのりの取り組みから~
キャリア教育シリーズも第12回を迎えました。これまで埼玉県内の様々な団体や企業の取り組みを通じて、多様な働き方や社会貢献の形を学んできましたね。
今回は、上尾市を拠点に活動する認定NPO法人みのりをご紹介します。この団体の活動を通じて、社会課題を解決する仕事の意義や、誰もが活躍できる社会づくりについて改めて考えてみましょう。
認定NPO法人みのりとは?
設立の背景 2013年5月、盲学校の保護者達によって「盲学校卒業後の子どもたちの生活が、”みのり”あるものになることを願って」という思いでつくられたのが、NPO法人みのりです。2016年7月にNPO法人として正式に設立され、2024年1月には認定NPO法人として認証されました。
活動の中心 みのりは、視覚障害や複数の障害を併せ持つ「盲重複障害」のある方々が、地域の中で豊かに暮らしていけるよう支援する団体です。現在、上尾市領家にある障害福祉サービス事業所「領家グリーンゲイブルズ」を運営しています。
領家グリーンゲイブルズでの働き方に学ぶ
「視覚以外の感覚を活かした仕事」
グリーンゲイブルズでは、視覚障害のある利用者の方々が様々な仕事に取り組んでいます。特に注目したいのは、コーヒー焙煎の取り組みです。
「視覚障害者が多く働く当作業所では、焙煎するときに豆の『色』を見るのではなく、目では見えない生豆の水分量を『音』で聞き分け、美味しいコーヒーを作っています」
この事例から学べること:
- 感覚の多様性:私たちは普段、視覚に頼りがちですが、聴覚や触覚など他の感覚も非常に重要
- 個性を活かす働き方:それぞれの特性や能力を活かせる仕事の形がある
- 品質への追求:ハンディキャップがあっても、プロフェッショナルとして高品質な商品を作ることができる
多様な事業展開
グリーンゲイブルズでは、コーヒー焙煎以外にも:
- 点字用紙リサイクル商品の製作
- 革細工
- オンラインショップ「GGメイド」での販売
これらの活動は、「音と手触りのものづくり」をコンセプトに、「視覚以外の研ぎ澄まされた感覚をいかし、聴覚、指先、想像力を駆使して制作活動を行っています」
通信制高校生に伝えたいメッセージ
1. 多様な働き方の存在
みのりの活動から分かるように、社会には企業で働くだけでなく、NPOという形で社会課題を解決する働き方があります。また、障害の有無に関わらず、それぞれの特性を活かせる職場づくりが重要であることも学べます。
2. 地域とのつながり
上尾市を中心とした埼玉県全域で活動するみのりは、地域に根ざした活動の大切さを教えてくれます。通信制高校で学ぶ皆さんも、自分の住む地域にどのような課題があり、どのような解決策があるかを考えてみてください。
3. 継続的な学びと成長
「カフェ店長にご指導いただきながら、日々コーヒーの美味しさを追求しています」という記述からも分かるように、働きながらも学び続ける姿勢が重要です。
キャリアを考えるための視点
自分の「感覚」を知る
みのりの取り組みから学べるのは、人それぞれが持つ「感覚」の違いです。あなたは:
- 音に対して敏感ですか?
- 手触りや触覚を大切にしますか?
- 人とのコミュニケーションが得意ですか?
- 一人で集中する時間を好みますか?
これらの特性を理解することで、自分に適した職業や働き方を見つけることができます。
社会課題への関心
みのりは、「現在日本には、盲重複障害を持つ人のことを考えた社会資源が十分ではありません」という課題に取り組んでいます。
皆さんも身の回りを見渡してみてください:
- どのような課題がありますか?
- その課題を解決するためにはどのような方法がありますか?
- 自分にできることは何でしょうか?
次回予告
次回のキャリア教育シリーズでは、引き続き埼玉県内の団体や企業の取り組みを紹介し、さらに多様な働き方について学んでいきます。
今回のまとめ
- 働き方は多様で、それぞれの特性を活かす場がある
- 地域に根ざした活動の価値を理解する
- 継続的な学びと成長の重要性
- 社会課題を解決する仕事の意義
認定NPO法人みのりの活動を通じて、「誰もが活躍できる社会」について考える機会になったでしょうか。皆さんの将来のキャリアを考える参考にしていただければ幸いです。
認定NPO法人みのり 基本情報
- 所在地:埼玉県上尾市領家401-1
- 電話:048-729-8264
- ウェブサイト:https://ageo-minori.or.jp/